今回は投資を今すぐ始めたいと思っている方が一番最初に突き当たるであろう、そして投資関連の質問ランキングで一番に入ってることも多い、不動産投資をする上でどの程度の初期投資費用が必要になってくるのかという疑問にお答えしていこうと思います。正直ここだけはあくまで私個人の主観が組み込まれた金額となりますが、理由を踏まえた上で丁寧にお答えしていこうと思うので、最後まで目を通していただけたら幸いです。いかがでしたでしょうか?

自己資金に最低300万円は用意する

1000万~2000万円規模の物件を買って運営していくために必要な自己資金の額は、僕の経験から得た感覚値では300万円が最低ラインになります。現状年々と銀行の融資は消極的になっています。これは初めの記事でも説明したように、「かぼちゃの馬車」事件とそれ以後相次いだ金融機関の不祥事の影響が大きいです。物件購入価格の満額融資、すなわちフルローンを引くのは、今はかなり難しいと思います。しかも地方の物件や都心の築古物件というのは、なおさら条件の良い融資を引きづらいでしょう。たとえフルローンの融資を受けられたとしても、物件購入価格が上限になりますから、購入に当たっての諸経費は自己資金でまかなわなければなりません。仲介業者への手数料、ローン手数料や保証料、登録免許税と司法書士への報酬、固定資産税、都市計画税、印紙税、さらに火災保険料など、だいたい物件購入価格の5~7%程度が必要です。また、すぐにリフォームが必要な場合もありますし、数カ月後に支払う不動産取得税や当面の運転考えたら、300万円あれば安心できるかなというのが僕のイメージです。

さてフル ローンを引けない場合は、自己資金から頭金を捻出しなくてはなりません。頭金の目安を物件購入価格の10分の1とすると、 150万円を頭金にローンを組み、残りの150万円は前述の諸経費で消えていきます。運転資金やリフォーム資金は残りません。現状で入居率がよければ所有権を移転して1カ月後には家賃が入ってくるので運転資金のメドは立つかもしれませんが、空室だらけでリフォームしなければ貸せないような状況であれば、別途リフォームローンを組んで修繕費に充てる必要が出てきますリフォームローンは取得した物件を担保に、おそらく問題なく引けると思います。ですからやはり自己資金は300万円が最低ラインとして必要だという計算になります。結局のところ、融資を引くためには金融機関から「この人になら貸しても大丈夫」と思わせる必要があります。そのためにも最低300万円は現金を持っているという事実が重要で、すなわち金融機関からは「購入してから諸費用を払って運転資金もある」と見てもらえることになるわけです。そういう意味では、「見せ金」という言葉があるように、例えば身内の方にでも一時的にお金を借りて、銀行に通帳を見せるというのもひとつの手です。通帳にいきなりお金が増えていることについて説明を求められるかもしれませんが、その場合は「身内からの援助金です」と正直に言って問題はないでしょう。そして実際には身内から借りたお金には手を付けず、リフォームは別途リフォームローンを利用しても大丈夫です。ただ、金融機関はそれでOKとしても、口座に急に多額の現金が増えたことを税務署が喫ぎつけた場合は、「贈与」と見なされて贈与税の対象となる可能性があります。念のため、あくまで「借金」であるという体裁を整えるために、市中金利と同じ相場でお金を借りている旨の借用証書を作成するといいでしょう。

ではどうやって300万円を貯めるかというと……、それはもう各自で努力してくださいとしか言えません。この不況下で貯蓄をしていくのが苦しいのはわかります。でも僕の知人でふたり合わせて年収450万円のご夫婦は、家賃8万円のマンションから郊外の4万円のアパートに引っ越して、車も売って1年間で300万円を貯めました。そこまでがんばらなくても、ぜいたくをしないで日々節約に励めば 2~3年で貯めることができるのではないでしょうか。貯金というのは地道な行為ですし、欲しいものをがまんするというのはつらいことだと思います。それでも将来に不安を抱えて生きていくよりは、今は多少つらくても、「将来の経済的安定」のためにひと踏ん張りすべきではないでしょうか。300万円という目標をしっかり胸に刻み込んでいれば、お金を貯めた分だけどんどんと目標に近づくわけですから、苦労も苦労と感じないで済むと思いますよ。

まずは戸建てで投資を始めるのもアリ

再三に渡って申し上げた通り現状、不動産投資の環境も少しずつ変化してきました。投資効率を重視して「まずは一棟アパートから」という僕の手法は、現在でも有効であると自負しています。しかし全体的に物件の利回りは低下し続けており、僕の手法で最も肝となる部分の「高利回りの物件を手に入れる」ことが難しくなっている状況です。また「投資を始めるタイミングは、早いほどいい」というのも僕の持論です。銀行によっては「75歳になる年までしか融資しません」と年齢で期限を設ける場合もあります。やはり始めるなら早いほうがいいと思います。ですから、最近はまずは戸建てで投資を始めるというのもアリかなとも思っています。戸建てであれば必要な自己資金も少なくて済みますから、300万円貯めるのに比べれば、準備にかかる時間も少なくて済みます。そして何より、一棟アパートに比べれば圧倒的に利回りの高い物件を手に入れやすいのがメリットです。ここで僕がいう戸建てとは、築年数の浅いきれいな物件ではありません。築古や再建築不可など、素人が避けてしまう物件を指します。それであれば建物の状態によっては、表面利回り15%や20%でも、さらにもっと高利回りで安く仕入れることができるでしょう。僕の知人で、千葉県柏市という人口40万人ほどの中核都市にある駅から、さらにバスで何十分もかかる不便な立地に25万円の戸建てを購入しました。その戸建てはツタで覆われて半ば朽ちかけ、トイレも下水ではなく汲み取り式だったため、50万円くらいで投げ売りされていたのをさらに値切ったそうです。それを390万円かけて中も外もリフレッシュ。彼は「賃貸で家賃7万~8万円は取れるし、800万円くらいで売るのもアリかな」と語っていました。家賃7万円としても、表面利回り20%です。また別の人は、千葉県の外房に再建築不可の戸建てを30万円で入手、塀を壊して駐車場を確保したり表装リフォームに50万円をかけて、今は75%の利回りで運用中です。

高利回りで入居付けしやすい戸建て物件

2018年の総務省の調査によると、空き家の総数は日本全国で850万戸。これは人口減少とリンクし年々増え続けていて、野村総合研究所の推計では「2033年に2000万戸近くに達する」と言われています。実際、空き家が増加する状況を利用して、たくましく戸建て投資を行っている強者も有在します。 彼は地元でボロい空き家を片っぱしから調べてその所有者を探し当て、交渉して安く借り、それを又貸し(転貸)することで稼いでいます。そうしていると、地元で有名になり、物件の所有者から「住んでいない家があるから、タダでいいのでもらってくれないか」という話がることもあるそうです。僕がアパート一棟を勧めるのはスケールメリットが大きいからで、手間はかかりますが戸建てを5件、6件と買っていけば規模的には同じになります。高利回りが狙える分、戸建てのほうが収益性は上かもしれません。ボロ物件を再生させるのに大掛かりなリフォームは必要になりますが、そのノウハウを勉強して身につけていけば、たいていの物件は恐れるに足らずです。入居付けに関しても、戸建てのほうが子育てファミリーには好まれやすいというメリットもあります。また管理面でも、入居者同士のトラブルは起こりませんから、物件数がそれほど多くないうちは自主管理することで管理費を浮かすこともできるかもしれません。もしも相続した田舎にある元実家が、古くてボロくて誰も住むアテもなく眠っているとしたら、リフォームしてし出してみてはいかがでしょうか?

戸建てをステップに一棟アパートへ

家は千葉県野田市にあり、事情により空き家になりました。その家をどうするか人から相談を受けたので、「リフォームして賃貸に出してみたら?」と提案したのです2階建てで、階段が西と東に2つあるような割と大きな家だったので、間に壁を増設して片方には水回りを新たに作って、勝手口も玄関に改装して完全に2世帯に分けました。いわゆる「テラスハウス」のような物件です。リフォームの総工費は約300万円。きれいになったとはいえ、築50年で、単線電車しか通ってない、最寄り駅から10分以上歩かなければ いけないような立地です。それでも、両世帯合わせて13万円で入居者がついています。13万円という家賃は、地方で単身向け4世帯の小規模な一棟アパートから得られるのと同額くらいです。まずは戸建てから、それもなるべく利回りの高いものから始めて、知識と経験と同時に資金も蓄積して、それから一棟アパートを購入するというのもひとつの戦略です。少額とはいえ銀行から融資を引いて物件を買っていけば、それが金融機関への実績となります。また、共同担保にもなるので好条件での融資も受けやすくなります。ただデメリットとして、アパートの一世帯と違って家一軒分のメンテナンスが必要となるため、同じ世帯数の一棟アパートと比べて修繕費はかさんでいくと思います。しかしそれも、のちに紹介していくノウハウを使えば安く抑えていくことは可能ですから、早く始めたい人、手間をかけられる人は選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

いかがでしたでしょうか?不動産投資は個人に合った方法がありますし、個人の財力にあった方法があります。なので身の丈を知り、自分の切れるカードで何ができて何ができないのかを明確にすべきだと思います。世の中の定石や一般論に踊らされみんなこうしてるからと長いものに撒かれ、同じ轍を踏むと痛い目を見ると私は体験から知っています。なので皆様には決してそのような悲痛を味わってほしくない、なので繰り返し言いますが、自分の方法を確立する、思考を止めてはならない、その反復だけが、皆様にきっと将来的資産を残す道標になることでしょう。次回以降の記事も楽しみにしていたけると幸いです。